Point 01
自然光を利用した大水槽展示
幅14m、水深7.5m、水量990㎥の三陸大水槽は、水槽上部が外部に開放されている。自然光を取り込むことで、生物の本来の色鮮やかな姿を演出するとともに、水槽底面に反射する光のきらめきなどにより実際に海に潜りながら生物を鑑賞しているかのような印象を生み出している。限られた水量のなかで視覚的により広がりを感じさせるため、水槽を台形状の断面にするとともに、水中の擬岩を書割のように重ねてレイアウトすることで奥行感を強調した。
第2章
2015年に誕生した水族館。東日本大震災で津波による浸水被害を受けた高砂地区にあり、復興のシンボルとなっている。「いのちきらめく、うみの社」をコンセプトに、展示では人と海のつながりを紹介している。核となる展示空間は東北の海をさまざまな切り口で紹介する「日本のうみ-東北のうみ-」ゾーン。5つの独立性の高いクラスターとして計画されている。それにより来館者は生き物のみならずその生育環境を体感でき、運営者は継続的な更新がしやすくなる。また幅14m、水深7.5m、水量990㎥の三陸大水槽をはじめ多くの水槽上部の無蓋化をはかり、トップライトの利用、屋外での生物展示など、各所で自然光を取り入れている。これにより時間の移ろいや四季の変化を感じることのできる展示としている。
幅14m、水深7.5m、水量990㎥の三陸大水槽は、水槽上部が外部に開放されている。自然光を取り込むことで、生物の本来の色鮮やかな姿を演出するとともに、水槽底面に反射する光のきらめきなどにより実際に海に潜りながら生物を鑑賞しているかのような印象を生み出している。限られた水量のなかで視覚的により広がりを感じさせるため、水槽を台形状の断面にするとともに、水中の擬岩を書割のように重ねてレイアウトすることで奥行感を強調した。
核となる展示空間は5つの独立性の高いクラスターとして計画した。これは生物そのもののみならず生息環境の特徴まで来館者に伝えることを目的としたもので、「干潟」「アマモ」「内湾」といったテーマに沿ってクラスターごとの演出ができることが特徴だ。また全館休館をしなくても部分的な改修がしやすい構成で、入館者数に大きな影響を及ぼさずに更新することが可能だ。
屋外エリアも来館者動線とし、動線総延長500mを確保。ろ過機など外部に設置可能な機械設備は展示室に隣接する屋外機器置場に配置し、内部空間を徹底して活用できる計画とした。このような設計の工夫により、9,900㎡という延床面積以上の広がりを感じられる、満足度の高い水族館を目指した。